序文

はじめに

 この文書は、とある美大で実際に行った授業のテキストを元に作成されています。 理系学生と異なり、美大生は必ずしもプログラミングの素養があるとは限りません。 しかし、美術大学においても、 メディアアートやインタラクティブなインスタレーションなど、 プログラミングの知識が求められることが多い状況となっています (状況を知っている方からすれば「何をいまさら」という感じでしょうが…)。 そのため、美大生にも理解できるよう、 できるだけ具体的な例を多く示して分かりやすい説明を心がけました。

 もちろん、美大生の中にも驚くほどプログラミング能力が高い学生は存在します。 とは言っても、平均としては(当たり前ですが)理系の大学生と比較すると、 より丁寧な説明が必要であると経験的には感じています。 そのため、理解の早い人にとっては少々冗長であると感じられるかもしれませんが、 それはこのような理由によるものです。

Processing

 この一連の文書では、Processing というシステムを用いてプログラミングについて 説明していきます。 Processing は Java という言語を用いて初心者でも簡単に プログラムによりコンピュータグラフィックス(CG)アニメーションを 製作できるシステムです。 最近では Java に限らず Python や JavaScript というプログラミング言語を用いる こともできますが、この講座では Java を用いて説明していきます。

よいプログラムとは

 このシリーズでは、 プログラミングの基礎はもちろんのこと、 良いプログラムとは何か?を抽象化という軸にて説明していきます。 良いプログラムの定義については、数学のような明確な定義はまだありません。 しかし、このシリーズでは、 より柔軟なプログラム・より変化に強いプログラムを良いプログラムとして、 説明を進めていきます。

リファクタリングのテキストとしても

 プログラムの動作を変えずに、プログラムリスト(=ソースコードと呼んだりします)を 変更する行為をリファクタリングを呼びます。 この講座では、リファクタリングを通じて、 よりよいプログラムに変化していく様子もあわせて提示していきます。

この文書は、冒頭で述べたように美大生にむけての学習コンテンツとして 作成されましたが、リファクタリングの実際を紙上にて体験できる内容となっていますので、 プログラム初心者はもちろんのこと、 脱初心者を目指す方にとってもリファクタリングのテキストとして 利用していただけるのではないかと思っています。